法人生命保険の「30万円特例」についてわかりやすく解説

公開日:2023/12/15   最終更新日:2023/08/31

法人生命保険

2019年に、法人生命保険に対して「30万円特例」が適用されるようになりました。法人生命保険と30万円特例によって、会社や従業員に対する保障や福利厚生を手厚くできますが、特例の適応条件が複雑で活用しきれない場合もあります。ここでは、法人生命保険の活用に向けて、30万円特例をわかりやすく解説します。

そもそも「法人生命保険」とは?

法人生命保険は、生命保険の一種で法人が加入する商品です。基本的には、契約者・保険料を支払う主体・給付金の受取人はすべて法人となります。

法人生命保険の目的としては、経営者や役員などに万が一のことがあった場合の、借入金や事業継承といった法人を取り巻くリスクに対する保障が主です。なかには、被保険者を従業員、保険金受取人を従業員の家族とする保険もあります。

法人向けの保険

経営者や役員向けの法人生命保険は、基本的には法人が受取人となる保険です。経営者の死亡による事業継承や事業相続による資金不足に備える保険となっており、役員・従業員の死亡保障や医療保障、就業不能保障などがあります。

また、経営者・役員の退職金の資金を準備するためにも利用されます。

従業員向けの法人生命保険

従業員向けの法人生命保険の場合、被保険者は従業員です。保険金の受取人は従業員の家族もしくは法人となっており、会社の資金確保だけでなく、従業員の家族に対する財形の側面も備えています。

従業員向けの法人生命保険としては、生命保険や養老保険、医療保険、確定拠出年金などがあります。

法人生命保険の「30万円特例」ってなに?

30万円特例とは、法人生命保険において、被保険者1人あたりの年間保険料が30万円以下の場合、保険料を全額損金として処理できる制度です。

損金処理ができると、会計上だけでなく税務処理上でも損金としての計上が認められ、法人税などの税額を計算する際に、保険料を費用として計上できるようになります。

30万円特例の活用方法

30万円特例を活用することで、税金対策を行いつつ経営者や従業員の万が一に備えた保障や、従業員や役員の退職金の準備などを進めることが可能です。たとえば、短期払いの保険に加入すると、退職時には保険の権利が役員・従業員本人に移るため、役員・従業員の在職中に会社で保険料の支払いを終えておけば、退職金とあわせて退職後の保障も支給できます。

早期退職者が退職金を受け取れない状態で会社を去った場合は、返戻金を法人が受け取り、会社の資金として運用することも考えられるでしょう。

30万円特例の適用条件

保険料が30万円以下でも、すべての契約が対象となるわけではありません。

30万円特例が適用されるかどうかは保険契約の対象期間と保険商品の種類で判断します。

定期保険の場合は、2019年7月8日以降で最高解約返戻率が70%以下、第三分野保険の場合は2019年10月8日以降の終身型で、保険料が短期払いであれば特例の対象です。第三分野保険には、医療保険やがん保険などがあります。定期保険と第三分野保険の保険料は通算せず、それぞれ30万円以下であれば構いません。

30万円特例の注意点とは

30万円特例は適用条件が複雑です。知らずしらずのうちに特例から外れてしまうケースも見られます。30万円特例を活用する場合は、次の点に注意しましょう。

1人あたりの保険料は通算で考える

30万円特例は、1人あたりの保険料を通算して30万円以下でなければなりません。複数の保険会社で法人生命保険に加入している場合も、保険料を通算する必要があります。

通算保険料が30万円を超えると、すべての保険会社での契約が損金から外れるため、特に複数の保険に加入する場合は保険料の管理を徹底しましょう。

福利厚生としての活用には社内規定が必要

法人生命保険を退職金などの準備にあてたい場合、社内で退職金などの規定を設ける必要があります。規定がないまま保険金を退職金などとして支給しても、損金として計上できなくなるので注意が必要です。

保険料と保障内容のバランスを考える

30万円特例を意識しすぎると、肝心の保障内容がいい加減になるケースもあります。反対に、保障内容を充実させすぎると、保険料が30万円を超える可能性が高まります。保険に加入する目的を明らかにし、30万円特例の適用範囲内で目的を達成できる保障内容を考えましょう。

また、従業員の人数が多いほど支払い保険料も膨らみ、支出が大きくなるため、会社の規模も考慮に入れて保険料と保障内容を検討しましょう。

 

まとめ

法人生命保険を活用すると、会社経営にまつわるリスクを保障したり、役員や従業員、その家族に対する福利厚生を充実させたりすることも可能です。さらに30万円特例の適用条件を満たすことで、節税につなげることもできます。ただし、単に保険料を30万円以下に抑えただけでは、節税対策としても福利厚生としても機能しません。30万円特例を活用するには複雑な条件を満たしたうえで、会社の規定を整備したり保障内容を慎重に吟味したりする必要があります。しかし、使いこなせば会社にとっても従業員にとってもプラスになる制度です。会社の資金繰りやリスクヘッジ、福利厚生の拡充を考えている場合は、法人生命保険と30万円特例の活用を選択肢に入れましょう。

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