就業不能保険とは?メリットなどを解説
就業保険は数ある保険のなかで、仕事ができなくなった時に役立つものです。それにもかかわらず意外と知らない人が多く、将来経済的不安に陥ったときに活用できずに後悔するというケースもあります。そこで今回の記事では、就業不能保険の内容やよい点と悪い点について、詳しく解説します。
就業不能保険とは?
就業不能保険とは、病気や怪我などをきっかけに就業できなくなった人が、不足する収入を補する保険です。
ただし保険金の受け取りの条件は、就業不能状態になっていることです。他にも、生命保険に付属する形で取り扱っている保険会社もあります。
就業不能保険は本来、公的支援の恩恵を受けにくい自営業の人に向いているものです。ただ、会社員も公的支援で日常生活の費用をなんとかやりくりすることにも限界があります。
加えて、住宅ローン等の返済があると金銭的余裕をなくすことがほとんどです。とはいえ、デメリットとして障害等級、免責期間、精神疾患など検討すべき項目があることには注意しましょう。
令和3年厚生労働省の世帯年収による調査によれば、全世帯1か月あたりの平均収入は約36万円です。それに対して、障害年金1か月あたりの平均は10万円となっているため、1か月あたり26万円足りません。
この不足分をいくらカバーするかを見極めて保険に加入することがポイントです。
収入が減るタイミングで子供の教育費が必要になったり、住宅ローンに当てるお金が足りなくなったりと、人生においてお金が足りないことで感じる精神的な不安は大きなストレスになります。
この時に、貯金の切り崩しだけではその場しのぎができるとしても、根本的な解決には至りません。収入が急に足りなくなることは誰にでも起こる可能性があるため、注意が必要です。
就業不能保険のメリットとは?
この保険のメリットは大きく分けて3つです。
生活に足りないお金の補填ができる
長期入院するなど就業不可の状態に陥った場合、会社員は公的保障である傷病手当金が支給されます。しかし実際には、それだけで生活費が足りず、ほとんどの人は補填が必要です。
そうなると長期療養が余儀なくされるうえ、入院等で必要な手出しに対応できる人はほとんどいないでしょう。そのため、複数の収入の柱を持つことで、家族はもちろん自分自身の精神的安定と生活の安定につながる保険が必要です。
入院しても経済的に安定する
医療保険は入院等にかかる医療費のカバーをするためのものです。そのため、病院を出たあとのことまで考えられていません。なのでお金が足りず生活に支障をきたす人が多いです。
そこを補填しているのが、就業不能保険です。ただし支給金がどれほど受け取れるかどうかは、保険会社によって異なるため確認しましょう。
将来何かあっても安定した生活を送れる
将来一家の誰かが長い期間入院してしまった場合、家庭における経済的不安は大きくなります。そうした不安の解決策になるのが就業不能保険です。
とくに子どもがいる家庭や住宅ローン等が発生している場合、恩恵を受けやすいのが特徴になります。食費、水道光熱費、家賃、交通・通信費などの生活費に加えて、学費や習い事費用といった子どもの教育費、住宅ローンなど必要なお金は数えればきりがありません。
就業できない状態になるほど、こうしたお金に苦労することが多いため、備えが必要です。
就業不能保険のデメリットや注意点
この保険は、多くのメリットがある反面、デメリットがいくつかあります。しっかり理解したうえで把握しておかないと、いざというときに給付金を受け取れない可能性があるので注意しましょう。
給付金の受け取るには一定の期間が必要
支払対象となる働けない期間が設けられています。そのため、定められた働けない期間を満たしていない場合、職業不能の状態であったとしても給付金は支払われません。
対象外になる病気がある
うつ病などの精神疾患が原因で職業不能状態に陥った場合、支払対象外とする場合があります。精神病は、療養期間が長期になりやすいため、加入保険の支払い条件を事前に確認することが必要です。
まとめ
日本では公的保障の1つに傷病手当金があります。これは、連続して4日間以上会社を休むと通算1年6か月間、給与の3分の2が給付されるものです。会社員や公務員の場合、社会保険に自動的に加入しているため受給できます。また傷病手当金の所定の条件を満たせば、1年6か月を過ぎても、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の障害年金が給付されるのです。一方で自営業者の場合、公的保障で障害基礎年金しか受給できません。そのため就業不能保険に入るメリットが大きいです。ただ、会社員であっても、将来家族や自分が経済的不安に陥らないために入る必要性は高いといえます。もし気になった方が入れば、保険の相談窓口などに行き、ファイナンシャルプランナーからアドバイスを受けながら、複数の保険会社を比較検討してみるとよいでしょう。