水害保険とは?カバーできる範囲を解説

公開日:2023/09/15   最終更新日:2023/08/23

大雨が原因で生じる洪水、土砂災害、高潮、津波などによる被害を補償するための保険を水害保険といいます。水害保険に加入することで、自身や家族、ビジネスの財産を水害から守り、被害からの迅速な回復が可能になります。今回はそんな水害保険の、カバーできる範囲や、カバーできない範囲について詳しく解説します。

水害とは?

自然災害のひとつで、水の影響によって生じる被害を水害といいます。雨水、河川の氾濫、津波、台風による豪雨などが原因となって、住宅や建物、土地、家財などにさまざまな被害をもたらすことがあります。

水害は地域や気象条件によって異なる特性を持ち、条件が揃うと、被害範囲が広く及ぶこともあります。たとえばゲリラ豪雨や記録的な大雨によって、近くの川が氾濫したり土石流が発生したりすることで、家の中に浸水が発生したり、家や車が流されてしまったり、その際に隣家の建物や車を傷つけてしまったりといったことが代表的な例です。

近年の夏場は、そのような被害シーンをニュースで目にする機会も増えています。自然による災害のため、直前になって被害を受ける危険性を察知できても、回避したり防いだりすることや、被災の規模をコントロールすることは困難です

とはいえ水害を想定して自衛する手段が何もないわけではありません。水害によるリスクを最小化するために「水害保険」をかけることです。

水害保険をかけるメリット

水害保険をかけることにはさまざまなメリットがあります。まず、水害保険は自然災害のひとつである水害による被害を補償するための保険です。水害保険をかけることで、保険契約に基づいて被害が補償されるため、予期せぬ大きな経済的負担を軽減できます。

建物の修理や再建、家財の修理や交換にかかる費用が保険金によって賄われるため、被害からの早期復旧が可能です。

また、水害保険はリスクヘッジの手段としても役立ちます。自然災害の発生確率や影響を完全にコントロールすることは難しいですが、保険によってそのリスクを軽減し、安心して生活や事業に専念する一助となります

さらに、水害保険は家族やビジネスの将来に対する安全網を提供します。水害による被害は大きな影響を及ぼすことがあり、その際に保険があれば被害の克服や再建に集中できます。保険がない場合に比べて、迅速な対応や回復が可能です。

総合的に考えると、水害保険は水害に対するリスクを軽減し、家族やビジネスの安全を守るための重要な選択肢であり、未来への投資ともいえます。

ほかにも、水害の予防や対策のために、気象情報のモニタリング、適切な地盤づくり、避難計画の策定、防災施設の整備なども重要です。住んでいる地域の水害リスクを理解し、有事の際は適切な行動をとることも大切です。

水害保険でカバーできるもの

水害保険は、水害によって生じる損害を補償するための保険です。水害保険をかけるには、火災保険の水災補償に加入が必要になります

保険の適用範囲は、洪水・高潮・土砂崩れ・融雪洪水・落石などによる被害です。一般的な支払い要件は、再調達にかかる金額の30%以上の損害を受けた場合や、床上浸水または地盤面から45cmを超えて浸水した場合に適用されます。

損害保険金の支払額は契約内容によって異なりますが、上限額が設けられており、損害額から免責金額を引いた額が支払われます。火災保険での保険対象は「建物のみ」「家財のみ」「建物と家財(トータル)」の3種類です。

建物に対する補償

雨水の侵入や河川の氾濫によって建物が損傷した場合に発生する補償で、修繕や再建にかかる費用が補償されることがあります。

主な対象物は一戸建て、マンションの建築物に対して、窓・扉・門・塀・垣・物置・車庫(延床面積66㎡未満)・庭木・畳や床・固定されている電気やガス、冷暖房設備・物干や敷石などの屋外設備が対象となります。

家財に対する補償

雨水の侵入や河川の氾濫によって敷地内にある家具・家電が損傷した場合に発生する補償です。自転車や総排気量125cc以下の原動機付き自電車、衣類なども該当します。

また、1個または1組の価格が30万円を超える貴金属や宝石、美術品など、事前申告して保険申込書に保険対象として明記した「明記物件」も含まれます。

なお自動車は家財に含まれないので注意が必要です。大雨などにより自動車が水没してしまった際の補償は、自動車の車両保険などに加入する必要があります。

水害保険でカバーできないもの

一方で、水害保険の適用範囲外とされる被害も存在します。以下が一般的な水害保険でカバーできないものの例です。

雨水、河川の氾濫など水害以外が原因で起こる被害

津波や土砂崩れによる被害が発生した場合でも、地震を代表とする水害以外の自然災害が原因の場合は保険の対象外となります

また、給排水設備の破損や詰まり、トイレの不具合、貯水タンクや給水器・スプリンクラーの故障など「事故」による漏水などにより建物や家財が損害を受けた場合も補償対象外となります。

保険請求期限を超過した場合

水害によって建物や家財が損害を受けた場合であっても、保険金の請求期限を過ぎると保証が受けられません。水害保険を契約する際には、補償対象・保証範囲をしっかり確認・把握することが大切です。

まとめ

水害保険の概要や、適用範囲について解説しました。水害保険は、豪雨や洪水、河川の氾濫などによって生じる建物や家財の損害、さらには賃貸住宅や事業所の被害に対応する補償です。保証の対象となるのは建物と家財で、美術品や芸術品、宝石など1点が30万円を超える家財に関しては事前申告して保険対象にする必要があります。水害保険の適用範囲や除外事項は保険会社や契約内容によって異なる場合があります。保険契約前に、契約内容や注意事項をよく確認することが重要です。

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